明けましておめでとうございます。 今年も皆さんお元気で幸多き年となりますように。 昨年から始めたこのブログですが、続けることの大変さをひしひしと感じています。2030年引退までの10年、自分の気持ちや学生の成長を記録し、色んな先生方とシェアしながら、新しいカリキュラム作り、クラス環境作りに役立てていこうと思い始めましたが、まぁ時間の経つのが早い事。ブログで記録することによって、時間の足跡が残ってるんですよね。半年でたった11のブログエントリー。でも、自分が思ったことを言葉にしてまとめることの大事さを実感しています。時間のかかるプロセスですが、このブログ経験を通して、学生にも自分が思ったことそれぞれに価値観があることが実感できるクラス作りをしていきたいと思うようになりました。 年末年始にかけて三つの映画を見ました。映画館で "Bombshell"と言うメディアのスキャンダル劇の話、ネットフリックスで、"Judy"と"The Two Popes"を観ました。"Judy"は、Judy Garlandの生涯を描いた映画で、"The Two Popes"は、Pope Benedict XVIとPope Francisの友情を描いた映画でした。この3作品、一瞬ジャンルの全く違う映画のようですが、私には、個々が求める欲望のために自分自身を犠牲にし名声や富を手に入れたものの、他人や社会が作り上げたステレオタイプ、価値観に押しつぶされ、生きづらい生涯を過ごした主人公の話のように映りました。でもこれって、単に映画の中の話なのでしょうか。自分も含め、何かしら生きづらい経験をしながら、周りの目を気にしながらオドオドと行動している人って多いのではないでしょうか。 プレッシャーという他人の価値観私の学生の大半はアメリカに移民してきた親を持つ子供たちです。両親や家族を喜ばせるために なんとなく大学へ行くことを想像している学生、将来成功するためにいい成績をもらおうとしている学生、それぞれですが、具体的に自分の価値観やその成功の本意を明確に表現できる学生は少ないですし、実際十代の学生に期待するのも難しいことかもしれません。それ故、学生一人一人が共感できる教育がもっと大事になってくるだろうし、各科目のカリキュラムにも学生自身が何か自己発見できるカリキュラム内容、それを伝える効果的なクラス運営が必要だと思います。 好きなことが見つかってもその夢に向かって踏み出せない学生も多いです。家族や周りから自己否定されたり、失敗することへの恐れからでしょうか。色んな意味で「行きづまっている」と感じている学生に、単に日本語文法や単語、日本文化の知識を与えて、通知表でいい成績を残せても、学生に自分には可能性があると感じてもらえるクラス作りが出来たと言えるのでしょうか。 私の日本語のクラスを通して、何か新しい興味を発見したり、クラス内容やクラスメートと共感したりしながら、もしかして自分にもできる力があるとそれぞれの可能性が見出せられたらクラスとして成功したと言えるのではないかと最近強く思うようになりました。他人からの価値観をずっと維持しつづけるのではなく、色んな情報をお互い共有し、学生たちが自分の価値観を育て、また変化していく必要性/柔軟性を自分で感じてもらえるクラス作りが私の理想です。 でも、これってかなり理論的で現実味がないですし、じゃ実際何をすればいいのって話になる、それは学校ごと/教室ごとに変わってくると思うので、私が考えているアイデアが他の先生方のクラスに直接適応できるとは思いません。これは各自先生が持っている経験とレシピとスパイス、それと変化を楽しめるかどうかの度胸が決め手になるのではないでしょうか。 個人的には2030年円満引退というゴールを定め、それまでに挑戦できることを考え始めてからクラス内での変化をもっと楽しめるようになったし、良い事も悪い事も過程の一部として客観的に見れるようになりました。 PSAT score ave. 950この間ウチの2年生全員がPSATを受けたんです。Practice SATですよね。気になったんで、学校全体の平均点ではなく、本校で日本語を取っている2年生約80名を対象に彼らのテスト平均を調べてみました。950。全米平均が920なので、ちょっとだけ平均上、56% Nationaly representive sample。つまり私の学生達より、成績が良い学生が全米に44%いるという計算です。Urban high schoolsの平均点にも近い数字です。点数がどうだから、ウチの学生はこんな感じだと分析するつもりはありません。[点数のみで学生を評価するのは正直時代遅れです。私が高校生の時に嫌な思いをしましたしね。]
でもこの平均点に近い学生が多く集まる学校の環境を考えてみたいと思いました。平均点を取る学生が周りに多いと言うことはそれだけ競争力も低く、ある意味学生にとって居心地のいい環境だと思います、みんな同じで。でも少し背伸びをした環境でないと人って成長できないと思います。ゲームと同じで、同じレベルで高スコアを何度取っても面白くないでしょ。次のレベルに上がって、強くなっていくほうが達成感も遥かに大きいし、楽しさも倍増です。私の学生の学習環境は、レベルのない一辺倒なゲームのように、緊張感があまり高くないという現実があります。 学生を成長させていくことが教師の役割とすれば、このような状況に慣れている学生とどう向き合っていけばいいのでしょうか。今年の正月のニュースで気になった記事がありました。九州のサッカー名門高校が全国大会の一回戦で破れ、監督がコメントしていました。 「選手たちが自主的な練習もせず、監督も朝練も1日も欠かさず顔を出すことになった。」「今年の世代は、練習が終わった後に自主練している姿を見たことがない。朝練にしてもそう。自分が顔を出した時だけ姿を見せて練習し始めていた。」 私も授業を通して学生を成長させていくのが教師の役割だと思います。自分で考え、実行できる学生を育てる方法に近道はないと思い、数年前から「考える力」を育てるのが私のクラスカリキュラムの中心になっています。手取り足取り私が教えるクラスでは、学生は何も得るものはありません。 まず学生同士で教えあえるクラス環境づくりがクラス運営の土台となっています。 去年までは、質問すると、何もあまり考えずに「わかりません」とすぐ応える学生が多かったんです。とりあえず「わかりません」って言うと先生が答えを教えてくれるみたいな態度で。ですので、毎週金曜日のクラスの一部は復習の時間で、その週に経験したことのハイライトをグループ内で教えあっています。Essential Questions / Driving Questionsの模索中に、何を考えたらいいのか結果をすぐ求めたがる学生/グループには、自分で答えを出すところまで色々質問することもあります。はっと何か頭で閃いた学生がグループにいるとすぐにその学生は他のグループメイトに共有しようとします。それを聞く学生の目も私の話を聞く目と全然違っていて、理解しようとする態度が表れています。自主的に話し合うことに慣れさせる時間を多く持つようになりました。もちろんちゃんと目的がないとちょっちょと簡単に済ませるグループもありますので、そのようなグループは私の質問責めに遭うことになるので、学生には適度な緊張感を与えています。前学期は、月一で日本だったので、かなり「考えといてね」タイプの勉強が多く、グループで色々協力しながらやってくれました。先生が中心で先生がいないと回らない/進化しないクラスは極力さけたいので、日頃から話し合う機会を作りました。 それから、各ユニットのAssessmentは学生の考えが反映されたモノを中心に考えています。 前学期、2年生は新しい街づくりを自分たちのリサーチを元に色んな人たちの立場から考えたり、3年生は日本の大学留学に関するリサーチを行い各大学に手紙を送り、ほぼ全部の大学から返信がもらえました。学生はとても喜んでいました。一層その大学や留学に興味をもったみたいです。今学期は、3年生の江戸ユニットが終わるので、ミュージカルハミルトンのように、時代背景を元に江戸で暮らしていた色々な人の立場や感情を歌詞にして、各グループが選んだ歌で替え歌ビデオを作ってもらいます。学生の考えが反映されたモノを作るのは自己の成功例の一つになると思います。時間はかかるかもしれませんが、クラスで経験したことが5年後/10年後に何かしら活きた思い出として反映してくれたら嬉しいですしね。これからの時代は好きなことを仕事にすることが重視される時代だと思います。勉強も好きなこと/自分で考えたことを自己分析を重ねながら作り上げていくことも大事だと思います。 学生の生活全体を変えることはできませんが、私のクラスにいる時は、「生きづらい」経験が無いように自分の意見を自分らしく言える環境でのびのび成長してもらえたらと思います。高い意識を持って学校に来る学生なんてほんの一握りかもしれません。でも平均点の学生にはもっと出来る喜びを与えられるクラスになるのが今年の抱負です。 今年もよろしくお願いいたします! 森川ともかず
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