3週間前に日本に帰っていたのですが、父が緊急入院となり、また日本に舞い戻ってきました。今回は、クラス作りに関することを話してみたいと思います。学生たちのアンケートの声を聞きながら、自分なりに来学年の授業をイメージしてみました。まず、三つのカテゴリーに分けて考えてみました。
Group Learning (settings, roles, routines) 教室の机配置は引き続き、4人グループでやろうと思っています。アンケート結果によると、基本、学生たちも協力しながら学べる環境がいいみたいです。 4人グループで座るとビデオやプレゼンを見せる時、全員正面向かって座れないので学生からの注意が集まらないし、4人グループだと責任回避で何もしない「余った存在的」な学生が一人よく出るので、本当は3人組でみんな正面が見られるシアタースタイルの配置が理想ですが、学生数が1クラス34−38名だとそんな場所もなく、4人グループで続けることにしました。去年の教室の写真のような感じです。去年までは、二週間ごとに席をランダムに替えていたのですが、学生からの要望もあり三週間ごとにしようと思います。二週間では学生同士が打ち明けられた時にまた別れるので、Group Learning向上のためには三週間必要と判断しました。Block day (80 min)を含め、週に4回各クラスがあります。 各グループには座る場所によって役割 (先生、TA、Dean、学生)があるのですが、今まではきちっとタスクを理解してない学生やどうタスクをクリアしていいかわからない学生もいて、正直うまくいっていたとは言えません。来学年は色々Group Learningのための練習を重ねながら、グループでの活動がうまくいくようなアクティビティをもっと取り入れようと考えています。グループタスク達成/上達した学生への Acknowledgementももっとアピールしようと思います。
基本的にグループ活動はこの4人が協力して行うようにしています。前回のブログでも書きましたが、お互いが信頼できる環境づくりには、学生それぞれの適応性をメンバーが判断しながら進めていく必要があるかもしれませんが、最初からそれを学生に期待するのも難しいと思います。教師である私がクラス全体のアクティビティで各自学生にあったアプローチをクラス内で見せることで学生にも感じ取ってもらえるかもしれません。助けを求めるのが苦手な学生や無理強いする学生が苦手な学生も多いので、このタイプの学生へのアプローチの仕方も具体的に考えてみなければいけません。アクティビティ内での助け舟も確実にグループメンバーからのサポートのほうが受け入れられるので、ただ単に「励ます」のではなく、ヒントの出し方や的確なアドバイスがグループ内でできるようになればと思います。 まずは、お互いが「ごく自然に話せる」環境づくりですね。各学生の自己肯定感を高めるには、クラス全体としてまた個人として学習環境を変えていかねければいけませんね。グループ活動の目的は、個々の日本語学習のためだけではなく、彼らのライフスキル向上のためでもあります。 21st Century Skills と聞くと、よくTechnologyやCritical Thinking、Collaborationなどのキーワードを聞きますが、Academic Successを経験したことが少ない学生に外向的にものを考えて勉強しよう!と言ってもハードルが高すぎて上達しにくいスキルです。それよりもまず大事なのは自分に欠けている内面的なことをまず克服してもらいたいと思います。私のパートナーが今サマースクールでHealth Edを教えています。サンフランシスコ学区全体のサマースクールなので、彼のクラスには色々な高校から集まって一緒に彼の授業を取っています。サンフランシスコには選抜で選ばれた学生が通う指折りの成績優秀高校からいろんな問題を抱える高校など色々あり、彼のクラスには各学校代表のような学生が集まっています。先日、「成績優秀高校の学生とその他の高校の高校生の違いは何か。」と聞いてみました。彼曰く「知識に関しての違いはないが、Time Managementは、成績優秀校出身の学生のほうが秀でている。」との答え。レポートやプレゼン、プロジェクトの締め切り日から計算して今何をした方がいいかちゃんと考えて計画通りに進められるスキルが他の高校の学生に比べて優れているらしい。「やっぱり。ウチの学校には少ないタイプ。」でもだからと言って、ウチの学生が出来ないわけじゃない。そういう経験を積んだことやそういう経験ができる家庭/社会環境にいたことがないのが原因かもしれません。Time Managementスキル上達のために下記の二つを来学年はやってみようと思います。時間以内に達成することへのトレーニングです。
このレベルであれば、日本語1の春学期でもできるレベルです。このような会話が自然にできるように日本語1秋学期でタスク慣れをしておくべきですね。日本語2や3になるともっと内容が濃い会話が期待できるかもしれません。例えば、 「このプロジェクトの締め切りはいつですか。」「11月4日ですね。あと2週間です。」「私は、リサーチを終わりました。今週、書かなければいけません。」「私はリサーチがまだです。アイデアがありません。」「先生に質問した方がいいですよ。」どうでしょう? まぁ、遅れている学生がこのようにスラスラ会話をしてくれるかは疑問が残りますが。締め切り後にやってくる学生からの言い訳は少なくなると思いますし、こういうカタチで文法や会話の練習になれると自信に繋がるのではと思います。
各ユニットの最終日を金曜日になるようにクラスを進め、その翌週を復習ウィークにしてみようかと考えています。まず、(1)文法、(2)単語、(3)文化、(4)会話のようなカテゴリーで、グループごとに内容確認とカテゴリー別にできる短いアクティビティやゲームを考えてもらい、ブロックデーのクラスの日に、別のグループと一緒になって、それらのアクティビティーをしてもらおうかと考えています。最終の金曜日はノートまとめやdigital portfolioに使おうかと思います。今までが詰め込み型だったので、そこを要領よく、学生も私もきちっとこの1週間を有意義な時間になるよう内容・アプローチを考えていきたいと思います。 Whole Group Learning 私はランダムに抜き打ちで学生に質問することは極力避けています。私が中学の時嫌いな英語のクラスでいつも当てられないようにオドオドしていたタイプでした。そんな状態で勉強できるはずないですよね。ですので、クラスの始めに、よく「今日は先生役と学生役の学生に質問しますよ。」とか言います。ある程度気持ちの準備をあげたいからです。もちろん注意散漫な学生には突然質問する時もあります。学生から文法や文化に関する質問が出た場合、私が直接答えることはしません。「いい質問ですね。プロフェッサーいますか?」と学生に問いかけます。その時答えたい学生が手をあげて、「じゃ、プロフェッサー (学生のfirst name)。」と言って、答えてもらいます。この場合は、学生には英語で説明してもらっています。先生役の学生がいるので、プロフェッサーという言葉を使っています。回答した回数は、私がメモをし、回答回数が多いと”Leadership”のデジタルバッジがもらえるシステムにしています。 来学期は、デジタルバッジをもっと応用したいと思います。学生のdigital portfolio用に作ったバッジがあるのですが、それをクラスで頑張っている学生の親に送るポストカードのデザインに使いたいと思います。私の学生の親御さんの半数以上がemailがなく、なかなか連絡を取るのも難しいです。手紙を昔送っていたのですが、英語がわからない親も多いので、デジタルバッジのポストカードなら絵を見て何かすぐわかるし、手紙と違って冷蔵庫に飾れるサイズのポストカードの方が喜ばれそうです。学生のacademic experience・自己肯定感はまず家庭内からだと思います。応援してくれる人が周りに多くなれば、学生の学習意欲も上がるかもしれません。バッジの内容はまたポストカードが出来上がった時に紹介します。 アンケート結果によると、日本語の会話力をもっと身に付けたい学生が多かったです。確かに文化を日本語で勉強するアプローチにしてから、会話内容も文化理解に置かれている方が多いようにも感じます。Presentational mode中心のクラス活動になってしまい、Interpersonal modeに関しては、学生の文化内容ディスカッションが多かったです。来学年は、どのレベルも会話が行われるシチュエーションを明確にし、タスクベースの会話練習を文化理解も含めながらしていきたいと思っています。 また文化理解に時間をかけ過ぎたのか、単語や文法の使い方をもっと練習したいという声もありました。文法はLearning Videosで予習をし、クラスでは直接教えていませんし、単語習得もアプリまかせな面もあったと思います。学生にはテクノロジーだけに頼るのではなく、ちょっとOld Fashion的なグループアクティビティの方が新鮮でインパクトがありますね。これにも注意して、レッスンを作っていきたいと思います。 Learning Resources サンフランシスコ学区で公式採用されている教科書は、Adventures in Japanese 1 & 2 and Genki 2です。直接クラスでは教科書を使ってクラスを進めることはしていませんが、これらの教科書にある内容を把握してカリキュラムを作り続けています。 文法紹介は、5分ほどのLearning videoを作ってそれを学生にオンラインで見てもらっています。見た後に、essential pointsを学生がノートのGrammar Diaryのセクションにデザインすることになっているのですが、なかなか上手くまとめることが難しい学生も多くいるので、初期の段階からクラスで、デザインの仕方を練習しようと思っています。それでも自分でできない学生にはテンプレート使用もいいかと思っています。色んなデザインアプローチを紹介しようと思います。このデザインは学生たちが自分の言葉で理解することを目的としている点とそのデザインを使って他の学生に説明できるようにというアプローチです。ただ全部の文法紹介をビデオで作ったわけではないので、これは私が随時増やしていかなければいけませんね。 ユニットが始まって1週間ぐらい経ってからユニットハンドアウトを配布していたのですが、始まる前に欲しいという学生が何人かいたので、来学年はそのようにしてみようと思います。 ただ内容は変えてみようと思っています。これまでのハンドアウト(see sample here) には、Unit Overview & goals, Essential Questions, QR codes for learning video & essential vocabulary、そして summative assessmentsの紹介がありました。内容が多すぎるのかレイアウトがキチキチ過ぎるのか、もっと活用してもらえるようなフォーマットがいいのかもと思います。ただワークシートにはしたくないなぁと。ワークシートにしてしまうと学生の学びが受動的になりがちで、それで満足されるのも。Learning goalsやCultural topicsをもっと具体的にし、どういうシチュエーションで学生が応用できるかヒントを与えたいと考えてます。 プロジェクトやプレゼンに関しては、いつも期待している内容を明確にし過ぎてしまい、同じような内容・スタイルのものが多くなってしまったので、learning expectationsはクリアにしなければいけませんが、詳細のトピックやアプローチは学生に全部任せようと思います。かなりの数の学生がきちっとクリアなlearning expectationsがありながらもoutcomesに関しては自由に選びたいという声が多かったので、この部分は学生次第ですね。 ノートは全員college ruled composition notebook (100 sheets)を使って、Class activities, bunka note, grammar diary, writing sample, interpretive notesなどの項目でタブを作ってノートページを使用前に分けています。ただ学生の性格による部分も大きいとは思いますが、解読不可能なノートもあるので、これは成績にもっとウエイトをかけてもっと真剣にのノートデザインに取り組んでもらおうと思っています。来年度は、ノートを使って他の学生やゲストに何かを紹介するというアクティビティを増やしたいので、それが可能なデザイン作りが必要になってきます。1) Visualize ideas as a poster (design concepts and essential info), 2) more handout style homework to review essential concepts in the unit, 3) introduce notebook size rubrics for all communication skills and how students can monitor their progress. この辺りに気をつけてノートデザインを導入していきたいと思います。 最後にDigital Portfolioですが、学生たちがもっと自分の学習成果を紹介できるサイトとして、またきちっと学んだことがReflectionsできる場として作っていきたいので、案を練っていきたいです。何かいいアドバイスや例があれば教えてください! あと、漢字でいつも困っています。何か良いアイデア・アプローチがあればシェアしてください!
2 Comments
Kazue Masuyama
9/17/2019 07:06:04 am
以前森川先生に見せていただいた学習者のノート。私もノート派なので、印象に強く残っています。かなり昔(私の)高校時代、歴史の授業ノートを家で書き直すという習慣をつけさせられました。先生の授業でも生徒さんたちは家に帰って、授業中に書いたコメントなどを色ペンなどで書き足したり、絵を描いたりしているのでしょうか。お時間ある時、もっと教えてください。
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Tomokazu Morikawa
11/9/2019 01:01:45 pm
増山先生、
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Tomokazu "Tetsu" MorikawaKonnichiwa! I've been teaching over 25 years at public high schools in San Francisco, CA. 次回ブログの予告
2020年春学期の内容をお話しします! Here is my website for school. Eventually, the school site will be merged into this Weebly site.
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